伴 真純 <エストレリータ>パンフレットご紹介
 
   
 

このアルバムについて

  クラシック音楽の世界とポピュラー音楽の世界の間には、目には見えませんが、高くて丈夫な『壁』があり、越えようとしても越えられない・・・。長いことそんなふうに思われてきました。ところが近年、この10数年といったところでしょうか、この『壁』が低くなったのか、消えてしまったのかは判然としませんが、とても越えやすくなってきました。これはあまりジャンルを意識せず、自分の感性にあった音楽なら何でも聴くおいう筆者のような人間には理想的な傾向で、おかげでこの数年、聴いたり集めたりする音楽の量が飛躍的に増えました。まことにうれしい時代の到来です・・・。

 そんな”うれしい時代”に、また1枚サラに嬉しいアルバムが加わることになりました。
この「エストレリータ◎伴真純」がそれですが、内容のお話の前にこのアルバムの特徴についてちょつと書いておきましょう。

  このアルバムの主人公は伴真純、二期会所属のソプラノ(詳しいプロフィールは別項を参照願います)ですが、彼女の美声をより際立たせるために、伴奏をギター(村石篤重、これも別項参照願います)一本に絞ったこと、つまり、ソプラノとギターのデュエットという形でアルバムが作られたことが最大の特徴で、セールス・ポイントなのです。このソプラノ+ギターというデュオ・アルバムは、これまでにもあまり作られておらす、わずかにブラジル出身のポピュラー・ギタリスト、ローリンド・アルメイダがサミーデイビス。ジュニアとポップ、サリー・テリーとクラシックのアルバムで果敢に挑戦したのを思い出す程度です。

  特徴の2点目は,選曲のユニークさにあります。ポップスのスタンドード曲、映画の主題歌(曲)。民謡、そして最新の歌謡曲まで、まさに百花繚乱・・・曲目リストを眺めているだけでワクワクしてくるではありませんか。
          
音楽評論家 宮本 啓

 
制作ノート

  あるライブで村石さんとご一緒して、その美しい音色に感激し、是非ギター1本で歌を歌いCDにしたい! と思ってしまったのがこのCDを作るきっかけでした。
  大人の村石さんは前途多難な事を予期しながらも、私の提案にNOとは言いませんでした。
しかし・・・ものを知らないというのは恐い事です。
ギター1本で歌うことがこんなに大変なんて・・・!
  ギターというのは本当に繊細な楽器で、その分細かい表現が可能ですが、決して音量的に大きな楽器ではないのです。歌はオーケストラの様な大きな器があればある程、楽に歌う事が出来るのですが、ギター1本だと寄りかかる所がなく、まるでアカペラで歌っている様になるのです。
そしてもう一つはキーの問題。歌い手のキーに合わせて半音上げたり下げたりも、ピアノだったら言ってみればすぐ隣を弾けば良い事ですが、ギターの場合、このアレンジでキーを変えてと言っても押さえる所がなくなってしまったりするんです!?
ギターとのCDづくりに対し、 エーッ無謀じゃない? との声が多く飛びました。
でも言い出したのは私。こうなったら最後までやるっきゃない。
結局、試行錯誤の末、数曲はベースとパーカッションでスパイスを効かせて頂くことになりました。生音でギター1本とクラシックの歌い手ではむずかしくとも、CDだからこそなせる業。うまく溶け合っていると感じて頂ければ嬉しいです。
人間の声の持つ豊かさ、力強さ、繊細さ、ハーモニーの面白さ、そして何より表現力、そんなものをどこまで伝えられるかなと思っています。

伴 真純
 
   
 
 

伴真純(ソプラノ)
東京出身。国立音楽大学声楽科卒業。
二期会会員、アミーチ・デッラ・リリカ会員、
東京MariaCallas協会会員。
オペラ「カルメン」タイトルロール、「道化師」ネッダ、「西部の娘」ミニーなど、多くの主役を演じる。又、東フィル、東京都響とのコンサート、TV朝日「題名のない音楽会」、東宝やパルコ劇場などのミュージカルにも多数出演。
1992年、1995年イタリア留学。広い音域と豊かな音楽性で、クラシックのみならず、カンツォーネ、シャンソン、ジャズ、ポップスなど幅広いレパートリーで観客を魅了している。
1996年ファーストアルバム「うたのおくりもの」、2003年「パラディーゾ」をリリースし好評を得る。

村石篤重(ギター)
東京出身。独学でギターを学び、1977年、初山博のアルバム「スマイル」でレコードデヴュー。1990年ジャズ・ヴォーカルの丸山繁雄の「酔狂座」に参加。2001年にはVerveレーベルから「ザ・ヴィンテージ・ソングブック」を発表、好評を得る。1997年ギターとウッド・ベースだけの「M.M.unit」を結成。
以来ジャンルを越えた幅広いコンサート活動を展開している。

飯田俊明(ピアノ)
武蔵野音楽大学大学院修了。PTNAヤングピアニストコンペティションDuo特級最優秀賞受賞。多くの有名なポップスヴォーカリストやオペラ歌手をはじめ、タンゴやジプシーヴァイオリンなどの多様なソリストをサポート。作編曲家としても、CD、映画、TVなどで楽曲制作を行っている。

店網邦雄(ベース)
数々のアーティストのバックを勤め、現在原信夫とシャープス&フラッツ、寺井尚子カルテットに在籍し、コンサート、レコーディング、TVなどで活躍。

rie (パーカッション)
クラシック、現代音楽、ラテン音楽などを軸に様々なアーティストのレコーディングやライブ、テレビ等メディアに多数出演中。

 

1. Scarborough Fair 
     スカボロー・フェア

2. Danny Boy 
    ダニー・ボーイ

3. Estrellita 
    エストレリータ

4. I Girasoli 
    ひまわり

5.Anema e Core
    アネマ・エ・コーレ

6. Cavatina
    カヴァティーナ

7.The Shadow of your Smile 
    いそしぎ

8. Johnny Guitar 
    ジャニー・ギター

9. The Days of Wine and Roses 
    酒とバラの日々

10. Over the Rainbow 
    虹の彼方に

11. To All My Loved Ones 
    千の風になって(UKヴァージョン)

12. Sen no Kaze ni Natte 
    千の風になって